こんにちは,HAVRMです.
先日Let's noteのCF-XZ6を落札し,使えるようにしたとブログを書きました.
havrm.hatenablog.com
しかし,使えるようにしてから2~3日連続稼働していたら,急に電源がつかなくなりました.今回はこれを修正し,「最も高いパフォーマンス」でも安定して動くように修理したことを書きます.
状況について
Windowsインストール成功し,安定的に使える(「最大のバッテリー残量」の設定時だけですが...)ようにしてから数日使い続けたときに問題が起きました.その時はちょうど九州にいて秋雨前線によるすさまじい豪雨に見舞われていた時です(佐賀県の嬉野や長崎の雲仙で降り始めからの雨量が1000mmを超えたあれです).その際いた場所はハザードマップ等確認したところ,特に土砂災害や浸水等の被害は想定されない区域でまたそのエリアからも離れている少し高台でした(皆さんも両方確認しておきましょう).そのためそこでPC等使って作業していたのですが,PCを冷やすために雨が振り込まない窓を開けて換気して部屋の温度を下げていました(なお,その時はその家に自分しかいなかったので暑い日は窓を閉め切って冷房をつけていました).この時の気温は25℃を下回っていたので冷房をつけるよりいいやと思っていました.すると,このCF-XZ6のみ(この時は他にMouseのG-TuneのノートとDAIVのノート,Let's noteのCF-SX2を同時に使っていました)電源がつかなくなりました.それも電源投入後の「Panasonic」の文字すらつかず,電源の緑のランプのみ少し光って消えるという状況でした.最初は使用条件の湿度80%以内を満たしてないからだと思い(この時,室内は78%となっていました),窓を閉めたうえでエアコンのドライを付けましたが,68%まで下がっても付きませんでした.その後も裏からUSB-FAN(Yahoo!ショッピングで購入した80×80×10mmのものです)を当ててどうにか起動してもWindows起動後に落ちることを繰り返していました.もともと冷却性能が低く,電源設定を「最大のバッテリー残量」としたうえでも,起動時や少し作業するだけでCPU温度が100℃周辺まで上昇していました.さらにギリギリ起動できたときに「Intel Power Gadget」で確認すると,「CCCPU Util」(CPUの使用率)と「Package Temp0」(CPUパッケージの温度)の波形がほぼ同一で冷却できていなさそうでした.
原因の確認
そこで原因を確認するために裏ブタを外したところ(一度外すと外れやすくなりますね...),
ヒートシンクのねじが外れていました!!!しかもねじが外れているのではなく,マザーボードにねじを固定するための金属の土台ごと外れていました...
そりゃ,十分に冷却できないな...
CPUの冷却に関して
冷却を効率よく行うためにはCPU等の発熱体とヒートシンク等の放熱体を隙間なく接続することが必要です.この隙間というのが厄介で通常は金属表面をどれだけ研磨しても完全な平面にはできません.しかし,目に見えない程度の凸凹があっても放熱性能は格段に減少し,十分に放熱できなくなります.そこでCPUグリスを塗ることでこの隙間をなくすことで放熱性能を上げるのが一般的です.ただし,ただ載せる,はさむだけなら完全に密着できるとは限りません.そのため,デスクトップであればばね付きのねじ,ノートパソコン等であれば逆に反ったヒートシンクを無理やり締め付けることで圧力をかけ,密着させます.今回はそのねじの片方が完全に外れたため,密着性が落ち,放熱が十分にできなくなっていたようです.
解決方法について
まぁ,解決方法は「どうにかしてねじを締めなおす」になります.ただまずはマザーボードに金具をつける必要があります.そのため瞬間接着剤(今回はセメダインの3000ゴールドをCan★Doで購入しました)を使ってみました.
しかし,くっつきませんでしたwまぁ,範囲も狭いし(画像参照),表面ガタガタだし,不適切使用ではあります.
ということで正攻法の「締めなおす」はあきらめました(いや,はんだ付けとかすることもできるけど,自分の技術だとうまくできないと思ったのと,簡単にできそうな方法を思いついたので...).
ではどうしたかというとあきらめて詰め物すればいいじゃないかとなりました.
たまたま片付けしていた時に出てきた小さなゴム足があったのでこのゴム足を挟むことで背面プレートから浮いているねじを押さえつけることにしました.ついでにこのゴム足の固定には先ほどの接着剤を流用しました(とりあえずくっつけばよかったので).
改良について(というよりグリスの塗りなおしですが...)
特に古いPCの場合ですが,冷却がうまくいかなくなることが多数あります.ノートパソコンの場合先にファンが壊れるのであまり感じませんが,大抵はCPUに塗ってあるグリスの劣化によるものです.今回は,この修理している間,ヒートシンクをはがしていたためにグリスが露出し,特に不適切な環境になっていたのもあり,また中古で落札したもので詳細不明ですが,2016~2017あたりに購入されたものだと推定されるのでグリスの劣化もあるとは思っていました(CF-SX2とかは2012年製ですがグリスの交換なしに使えています...).そのためグリスを塗り替えることにしました.
グリスの選定
今回はネットでは買わずに近くのPC専門店で探すことにしました.というのも今回初めて買うのでよくわからないこと,またネットショップでよくわからんものを買わされてもしょうがないからです.取り合えず,今回は次の点で選定しました
- ともかく熱伝達のいいもの(まぁ当然です)
- ある程度年数の持つもの
- 量は気にしない(以前ブログで書いた2014年製のノートのG-Tuneが今も重い処理をさせているため常時CPU温度が90℃以上といろいろ限界なので,これのグリスの交換もやってみようかと考えています)
グリスの清掃
ということで塗りなおします.
まずはすでに塗布されているグリスをふき取ります.特にCPU表面のヒートスプレッダ?(出っ張っている金属の面)とヒートシンク側はきれいにする必要があります.CPUのそれ以外の面についてはそこまで神経質にならなくていいはずです.通常はアルコール系の専用のウェットティッシュが売っていますが,今回はコロナ禍でJALが機内で配布しているアルコールシートを利用しました.除去後は次のようになります.
グリスの塗布
グリスを塗る際はグリスのパッケージ裏の説明書に「ヒートスプレッダの中心に4~5mmの粒を絞り出した後、へらで広げてください。」とあるので,その通りにします(なおここでHAVRMはキャップをつけたまま押し出そうとしていましたw.先端の黒いのはキャップなので外して押し出しましょう).へらで広げた様子が次のようになりました.ともかく全面に塗ることを優先しました.
なお,ヒートシンク側には塗りません.
組み立て
グリス塗布後はねじ締めを行い,先ほどのゴム足をつけて完成です.
その後の動作について
その後起動してみたところ,問題なく起動し,温度変化もなだらかであり,「最も高いパフォーマンス」で動かしても起動シークエンス中のCPU Utilが100%が続いたときに80℃後半までしか上がりませんでした.この記事を書いているときもこの「最も高いパフォーマンス」ですが40~50℃で推移しています.
これで一通りの問題は解決したと思います.また問題が起きればその解決まで行って記事にしたいと思います.
(追記:2021/8/24)速報
結局この記事を書いた後数時間後に強制終了しました(泣).当時CPU温度は40℃程度だったので熱による強制終了の線はなくなりました.満充電になった瞬間だったので,電源コントローラ回りかなと今は考えています.まだドライバのアップデートをすべてやっていないので,自然放電でバッテリー残量を減らし,電源回りのアップデートをやって様子を見たいと思います.進展があればまたブログに書きます.