こんにちは,HAVRMです.
前回に引き続き,Raspberry Pi ZeroとIMX327で撮影した話になります.前回は付属のレンズを使っていましたが,単焦点レンズのため拡大等できませんでした.そこで広角から望遠まで変更できるCSマウントのレンズに換装したのでその時の話を書きます.
IMX327やRasoberry Piでの使い方等は前回の記事を参考にしてください.
havrm.hatenablog.com
レンズについて
基本的にカメラはレンズでピントを合わせ,撮影素子に投影して撮影しています.一番原始的?な方法はピンホールカメラでレンズの変わりに極小の穴をあけることでピントを合わせる方法です.昔よく使われていた使い捨てカメラの場合,凸レンズが入っており(分解したものは1つでした),それでピントが合うようにしてあります.スマホのカメラにも数枚のレンズが入っており,仕様とか見るとレンズ枚数が書いてある場合もあります.
レンズを選ぶ際はいろいろ考える必要がありますが,今回は以下のことに気を付けて購入しました.あまり光学系に詳しくないので詳細を知りたい方は専門の人のブログ等を読むといいです.ほかにもセンササイズ等ありますが,センササイズはある程度マウントによって定まっているようなのである程度近ければOKにしています.
焦点距離
焦点距離はレンズで屈折させた光が一点に集まる距離ですが,これが倍率に直結します.焦点距離が長いほど倍率は高くなり,極端に短いと超広角や魚眼等といったものになります.なお画角も倍率に関係する値で,画角が狭いほど倍率は高いものになります.一般的に焦点距離100mm以上を望遠レンズというみたい(以下のサイト)ですが,これはあくまで一眼レフ等に使われる「フルサイズ」のセンサでの話になります.
ptl.imagegateway.net
この「フルサイズ」というのはセンサの全体のサイズのことで,フルサイズだと36×24mmの寸法になります.これより小さいセンサだと画角等計算する際にサイズに応じて補正を入れる必要があり,小さなセンサであればあるほど補正値が大きくなり,結果的に焦点距離が伸びます.今回のIMX327は「1/2.8″サイズ(対角線表記,6.46mm)」で,5.44×3.09mmのセンサになります.この時の補正値は大体6.7倍になるそうです(以下のサイトで計算).
omoide-photo.jp
今回はともかく焦点距離を長くできるものを探して選定しました.そのうえで広角側も広めのものを探しました.
解像度
意外と画像の品質に影響するのがレンズの有効画素数になります.レンズのシャープさにつながるものでセンサの画素数以上のものを選ばないとピンボケしたような写真になります.以下のサイトの比較がわかりやすいです.
fotootaku.com
今回のカメラは2.07MPなので2MP以上で選んでいます.
マウント
最後にレンズを取り付けられるかどうかに直結するマウントです.レンズとカメラを固定するねじやロック等のサイズを合わせないとそもそもレンズを固定できません.ArducamのIMX327はM12マウント(Sマウント)のものなのですが,これだと焦点を変えられるレンズは極端に少なくなります.違うマウントのレンズを使う場合,アダプターを使えば撮影できる場合があります.M12マウントにはCS/Cマウントのアダプターがあるため,CSマウントのレンズで選びました.
実際に取り付けようとして...失敗
ということで早速変換アダプタをIMX327のM12マウントに取り付けようとしましたが,ねじが入りません...
まっすぐ入れても途中で斜めになったり,外に押し戻されたりしてはまりませんでした...
たまたまなのか相性が悪かったようなので別の方法で取り付けることにしました.
取り付け方の検討
もともとこういったカメラモジュールは基板にねじ止めして固定しています.その寸法はある程度決まっていて,特にM12マウントとCSマウントでは互換性がある場合があります.Arducamでもマウントだけを変えた商品を販売しています.
www.arducam.com
www.arducam.com
IMX327のマウントも同じ形なのでCSマウントだけで販売されていないか探してみました.なおサイズは以下の通りです.
- ねじ :(おそらく)M1.6
- ねじ間距離:20mm
- センサ枠 :□15×15mm
実際に買ったものは次のものです.
実際のとりつけ
なるべくほこり等のゴミがない場所で作業してください.
M12マウントの取り外し
まずはM12マウントを外します.とりあえず,裏面の明るさセンサのケーブルを抜きます.ただ引き抜けばいいです.
その後背面のねじを外していくのですが,中にセンサがあるのでなるべくマウントをずらさないように外していきます.下手にマウントがずれると中のセンサに傷がつく恐れがあります.
なお,ねじを外す際は以下のセットの「+3.0」を使いました.ねじのサイズ的にはもう一つ下の「+2.5」がよさそうでしたが,滑ったので大きめのものにしました.
外すとこんな感じになります.
上の画像中の基板上にある黒い四角い素子が画像センサです.
CSマウントの取り付け
ここからはほこり等が入らないように素早い作業が必要です.
購入したCSマウントのセンサ側にある保護フィルムをはがし,取り付けえるのですが,明るさセンサと干渉しました...
そこで明るさセンサを無理やり斜めにし,どうにかつけることに成功しました.
レンズの取り付け
最後にマウントのレンズ側にある保護フィルムをはがし,レンズを取り付ければ終了です.
実際の撮影
今回も前回と同じく対象はガチャのデロリアンです.
www.takaratomy-arts.co.jp
レンズのレビュー等にも書いてありますが,ピントの調整がとても難しく,少し回しただけで大きく変わります.しかも倍率(焦点距離)を変えるとピントも一緒にずれるので調整がすごく大変です.ただ,ズーム等をしてもレンズの寸法自体は変化しないので何かに組み込むときとかはいいかもしれません.
至近距離(約15cm)
前回のM12マウントの時と同じような距離(15cmぐらいです)で撮影するとこんな感じになります.
焦点距離6mm
下の方に縁?が写ってしまっていますが,ほぼ全体がきれいに映っています.
遠方(約60cm)
次に望遠を生かすために約60cm離して撮影してみました.
焦点距離6mm
焦点距離60mm
iPhone 13 Proのカメラと比較すると大体13.7倍ぐらいの画像と同じ感じになります.
実際の比較のために車の先頭にある会社(DMC)のロゴマークで比較してみます.
iPhoneの場合,レンズ以外のズーム(iPhone 13 Proの場合×0.5,×1,×3)の場合,ピントが合う近いレンズの画像をデジタルズームし,減少した画素数は画像処理で補います.その過程でのっぺりとした画像になってしまいます.IMX327の画像もiPhone側に合わせて拡大したので少しボケたような画像になっていますが,ロゴマークはそこまで差はなくとも,ロゴマークがついている箇所(空気取り入れ口?)の凹凸がきちんと撮影できています.なおDMCのマークは「⊃m⊂」のようになっているのでIMX327のほうが近くなっています.
倍率を変える様子
倍率を変えながら撮影したのが下の動画になります.ズームに合わせてピントもずれるので調整しながらしていますが,ほとんどあってないです...またピント調整自体もDisplay HAT Mini(2インチ)を見ながらやっているので細かいところがよく見えてないです...
youtu.be
最後に
いかがだったでしょうか.IMX327に望遠レンズをつけて撮影するところまで行いました.もともと月等の天体をとりたくレンズを選んでいるので,次は実際に月等を撮影してみたいと思います(今日は新月の次の日なので月が見れません...).