皆さん,こんにちは.HAVRMです.
先日公開した中秋の名月に関する記事でも言いましたが,一眼レフのNikon D780を新しく購入しました.10年以上使い続けたNikon D90からD780に変えたことで,性能もだいぶ良くなりましたが,その分操作方法や機能が大きく変わりいろいろ混乱しました.フルオートで撮るなら問題ないですが,星等を撮りたいとなると細かい設定等が必要になります.購入したレンズやフィルターを含めた評価と共に設定による変化等についてまとめたいと思います.とは言え,私自身はプロでもなんでもなく,また勉強したわけでもないので,そこはご了承ください.
Nikon D780について
D780は2020年に発売されたフルサイズの一眼レフです.Nikonの一眼レフの中でも最新の機種になり,これより新しいのはプロ用のD6のみになります.ニコンは2022年8月時点で一眼レフカメラの開発を中止しており,今後これ以上最新の一眼レフは販売されない可能性があります.
D780の大きな特徴としてはファインダー撮影時は51点のAFシステムを搭載(D5と同じようなシステム)し,ライブビュー時はミラーレス一眼と同じような像面位相差AF採用の273点ハイブリッドAFを搭載しています.またISOも51,200までの高感度を持ち,4K UHD/30FPSの動画も撮影できるようになっています.
所感としては一眼レフとしての機能を持ちながら,同時期のミラーレス一眼のZ5と同じような機能ももつカメラになっています.
カメラの購入の動機と選定理由
一眼レフ等のミラー交換式カメラは高額なものが多く,あまり買うのには躊躇してしまいます.しかし,これまで使ってきたD90が明るさや画質等においてiPhoneに負けだした(iPhone 13 Pro ≦ D90 < iPhone 15 Pro Max)ため,新しいレフにすればもっといい写真が撮れるはずという思いがありました.D90は2008年発売のAPS-Cサイズの一眼レフでレンズ交換式一眼レフで世界で初めて動画撮影機能を持ったレフでした.15年かけて携帯・スマホが追い付いたのがすごいのか,15年も前の技術でも携帯・スマホのカメラに勝てたのがすごいのか判断はできませんが,10年以上(購入したのは型落ち品として買いました)使っていたので愛着がありました.とはいえ,最近は特定環境・写真(電車内からの撮影や長時間露光,流し撮り,周囲のピンボケ画像)を撮影するとき以外は使っておらず,iPhoneで撮影をしていました.
新たにカメラのボディを買うことにして,まずどのような写真を撮影するときに使うのか検討しました.基本的には乗り鉄や撮り鉄に近く(分類があるかはわかりませんが「車窓鉄」と考えてます),ローカル線の電車内からの景色をよく撮影しています.またそれに伴い,いった土地の様々な風景を撮影することも多いです.さらに星の撮影にも興味があり,星座や天の川,銀河,星雲等撮影したいと考えています.これらをもとに以下の条件でカメラを選定しました.
- 高速起動・撮影ができること
- バッテリーがよく持つこと
- ISO感度が高いこと
- バックライト付き(ライトを消せる)表示パネルがあること
- 露光時間でバルブ(無限開放)撮影が可能であること
- D90とレンズや周辺機器に互換性があること
- フルサイズのセンサであること
- なるべく最新機種で新品であること
さてここにD90とレンズの互換性があることとあるのはD90は捨てずに引き続き使うことを考えていたためです.これまでしたことはありませんが,長時間露光で線状になる星空の撮影等するなど,別の撮影法をするときにもう一台レフがある方がいいと考えたためです.その際レンズ形式がバラバラだとそれぞれのレンズを買う羽目になるので同じ形式(ニコン Fマウント,Gタイプ)を使えるレフがいいと考えたためです.また画素数よりもセンサ感度に重点を置いています.実はこの時点でほぼD780に決まるのですが,ちょうどNikonが「Nikon Creators 応募サマーキャンペーン2024」を行っており,D780は¥50,000キャッシュバック対象であったため思い切って購入しました.
www.nikon-image.com
カメラと追加アクセサリーについて
カメラバッグ
HAKUBA プラスシェル ブロス ショルダーバッグL ブラック SP-BS-SBLBK
画面保護フィルム
HAKUBA EX-GUARD 液晶保護フィルム(Nikon D780 専用)EXGF-ND780
レンズ
保護フィルターはセットで書きます
標準ズームレンズ(24-85mm)
AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR
保護フィルター:Nikon ARCREST II PROTECTION FILTER 72mm ARII-PF72
望遠ズームレンズ(70-300mm)
AF-S VR Zoom Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED(中古)
保護フィルター:Kenko Tokina PRO1D NX プロテクター(W) 67mm(中古)
フィルター
光害カットフィルターとソフトフィルターを合わせた「スターリーナイト プロソフトン」というフィルターもありますが,800mmの望遠レンズに使う場合,ソフト効果が不要な可能性(惑星等の撮影時など)が考えられたため,分けて買っています.また望遠レンズで使うのであればケラレ(枠が映りこむこと)も問題ないと考えたためです.
ソフトフィルター
Kenko Tokina PRO1D プロソフトン クリア(W)67mm
オプション品
ソフト
カメラでの撮影時の設定について
ここからは実際にカメラの設定による写り方や動作の違いについて書いていきたいと思います.基本的にはマニュアルを読めばいいのですが,それだけではわかりにくい箇所について実際の写真とともに書いていきたいと思います.
ファインダー静止画撮影
基本的には撮像範囲がFX(36×24,フルサイズ)でJPEGのLサイズ(6048×4024)のFINE★(画質優先)で撮影します.星空や後で調整することを考える場合はRAWで撮るときもあります.RAW画像は現状はとりあえずカメラ本体で現像(LサイズのFINE★)していますが,ソフトを使うことも検討しています.
ISOによる違い
ISOのみ変更してスカイツリーの展望デッキを柳島歩道橋より85mmのレンズ(「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」の最大倍率)で撮影しました.撮影時間が17:20頃と夕方であり,逆光かつ曇りだったので全体的に暗い画像になっています.まずは元画像がどういう構図だったのかというところでISO-5000の時の画像を貼ります.
見ての通りスカイツリーは完全に逆光になっていて真っ黒です...
いつも比較に使っている展望デッキ上部を拡大して各ISOで並べてみます.なお適当に段階を踏んだので変なステップになっていますが気にしないでください.それぞれの値については右側に記載します.なお元の画像から200×90ピクセルを抜き出して拡大しています.
見てわかるように,ISO-1,000を超えたあたりからノイズが出ているように見えます.特にISO-10,000を超えたあたりからは手すりが映りにくくなり,ISO-30,000を超えたあたりからはクレーン等の形状も不安定になっています.本当に細かく見るのであればISO-500を下回れば大きな差はないように感じます.とはいえ,掲載しているISO-5,000の写真を見てもわかるように細かく拡大しない限りはISO-10,000程度でも十分きれいな画像が撮影できます.
手振れについて
Nikonの一眼レフの手振れ防止機能はVRとしてレンズ側についており,本体側にはついていないです.そのため,手振れ防止機能のないレンズを使うと手振れ等の振動がもろに伝わるため,画像がぶれます.この時焦点距離の短いレンズであればシャッタ―を高速に切ることで手振れを防止することが可能です.しかし,焦点距離の長い望遠レンズでの場合,手振れ以外にもミラー動作による振動が乗る場合があります(中秋の名月を撮影しているときに気づきました...).D780では「電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター」と「電子先幕シャッター」,「電子シャッター」の3種類のシャッターがあり,それぞれどのモードで使われてどのようなものなのか,またミラー振動を抑える方法としてはあらかじめミラーを上げておく(ミラーアップ撮影)がありますが,それについても確認していきたいと思います.
なお,以下の内容は三脚を使う前提の話になります.純粋な手振れであれば,脇を締めてしっかり固定すると手振れはだいぶ抑えられます.
星撮影時のブレについて
星を撮影する場合,星が点にならない場合は次が原因のことが多いです.
- シャッターボタンを押した動作による振動:リモートレリーズやセルフタイマーで対応
- 長時間露光による星の移動
- ピントが合っていない
- シャッター動作による振動
長時間露光(これについては焦点距離によりますが...)をすると星自体は常に動いている(24時間で1周)ため,星の軌跡として画像に残ります.
広角レンズであれば10s程度露光してもあまり流れないですが,望遠レンズの場合は短時間でも流れます.そのため,赤道儀(特に自動のもの)で追尾してあげることで長時間露光しても流れなず,きれいに撮影することができます.
ピントについては合わせるのは難しく,ファインダーで見ながら星の点が一番小さくなる時に撮影するとか,撮影した写真を見ながら調整するとか,ライブビューで見ながら調整するとかになると思います.ライブビューを使うと画面を拡大して星を大きく見ながらピント合わせができたりします(機種にもよりますが...).中秋の名月を撮ったときは土星を拡大してピントを調整していましたが,ピントを調整するために回す動作だけでもすごく振動して調整が大変でした...
また星を撮影する場合,バーティノフマスクを使う場合もあります.これを使うことでファインダー内に見える光線の位置でピントを合わせることができ,容易に調整できるようになります.望遠用であれば自作できるようですし,また広角用もKenko Tokinaが「ナイトフォーカス」を販売しているなど,いろいろ選択肢はありそうです.
シャッター動作による振動については次の項目で話します.
シャッター動作,特にミラー動作による場合はレリーズモードをミラーアップ撮影にすることで,シャッターボタンを押してミラーアップを行い,もう一度押すことで撮影するというように,ミラー振動を抑えることができます.
シャッター動作の違い
そもそも一眼レフのシャッター動作は次のようになっています
- (ファインダー時)ミラーアップを行う / (ライブビュー時)先幕を上げ直す
- 先幕を下ろす(露光開始)
- 後幕を下ろす(露光終了)
- ミラーダウン
- 先幕を上げる
- 後幕を上げる
(Youtube 1,Youtube 2参照)
このミラーアップ動作と先幕・後幕の動作がメカニカルな動作になっており,シャッター動作の違いはこれらのどれをソフト的に行うかになります.
D780の3種類のシャッター動作については以下のようになっています.
- 電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター
- 上に書いた通常のシャッター動作
- 連写速度等には制限(最大7コマ/s,電子シャッター時に最大12コマ/s)がかかるもののほぼフルスペックを利用可能
- 電子先幕シャッター
- 電子シャッター
基本的には手振れ防止機能がついていればこれらの振動はだいぶ抑えられるので,そこまで気にすることはないです.ただ手振れ防止機能のない(VR表記のない)レンズの場合,これらの振動でも致命的になることがあります.
中秋の名月時に撮影した土星ですが,いろいろ条件が違いすぎて比較はできないですが,VRの有無で次のような違いが出ます.
左の画像は「焦点距離:400mm,絞り:f/8,露光:1/20s,ISO:640,快晴」,右は「焦点距離:300mm,絞り:f/5.6,露光:1/160s,ISO:3200,薄雲越し」でどちらもファインダー撮影でリモートレリーズを使用しています.左の方は三角形のようになっており,少し大きくなっています.振動した結果だと考えられます.
以下のブログに載せている土星と2日目撮影の月はSZX 400mmやそれに2Xエクステンダーを使用し,電子シャッターにして撮影することで振動をなくしています.
havrm.hatenablog.com
またこれらの振動は三脚やそれへの接続も影響してくると思います.三脚自体の剛性が低いと振動しやすくなり,また三脚にカメラ側をつけるとカメラで発生した振動がそのまま伝わる可能性もあります.
まとめ
これ以外にも気になった点等あったらまた追記していくと思います.とりあえず,カメラ性能はすごくいいのでこれからはいろいろな星等を撮影していきたいと思います.